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『剣道はすごいぞ』
―伝統と文化を大切にしてよりよい日本国をめざそうー
剣道はすごいぞ
競技としての剣道
剣道は競技スポーツなので相手と対戦し勝敗を競い合います。
だから試合に出て勝たなくてはなりません。
それでみんな勝つための稽古に励みます。当たり前のことです。
剣道について書かれた数多くの書物や雑誌には、どうすれば試合に出て勝つことができるか、どうしたら勝負に強くなれるか、どのような心がけでどのような稽古をすれば効果的なのか実に事細かに説明し解説されています。
いずれも国を代表する超一流の剣道選手であり、しかも超一流の剣道理論家が指摘されることだから、どこにも間違いはないのです。完璧なのです。
そして、学校や町道場の先生方はこの書物の通り、いかにして強い選手が育ち試合に出場して勝てるかについてあらゆる角度から分析して熱心にしかも親切丁寧に教えてくださいます。
これまた当たり前すぎることで疑う者は誰一人もいません。それでよいのです。
他のスポーツにない剣道のよいところ
随分古い話ではあるが、2006FIFAワールドカップ・ドイツ大会では各国の凄まじき闘魂を剥き出しにした死闘の場面が随所に見られました。
ピッチ上で繰り広げられる脚力と技との肉弾戦は見る者をして強く惹きつけました。
試合ルールに違反してまでも、イエローカードはもとよりレッドカードも辞さずに相手チームの選手へ誹謗や罵り、挙句の果てには人種的差別用語まで駆使して中傷するという按配でとにかく勝つためには手段を選びません。
そこがサッカー競技の魅力であり見せ所なんでしょう。
選手たちの気魄あふれるまなこを見るまでもなく一目瞭然です。
ピッチ上のイレブンとスタンドのサポーターたちが渾然一体と癒合し綾なす臨場感溢れる盛り上がった雰囲気はなんと言っても圧巻だ。
観衆が総立ちとなりウエーブと共に興奮度はクライマックスに達する。
しかし、その場面を冷静に観察すれば歓声のオクターブが上がるのは味方チームの得点場面だけではないのです。
相手チームのミスプレーに対し盛大なる歓呼とヤンヤの拍手喝采が湧き上がるのです。
過激なサポーター同士の乱闘騒ぎとて日常茶飯事と化している。
全世界のサッカーのみならずスポーツ愛好家の多くの目を驚愕のどん底へ陥れる一大不祥事が電波に乗って地球上を駆け巡ったのです。
フランスの国民的英雄たるジダン選手がW大会に大きな汚点を残したまま寂しく消え去っていったのもつい昨日のことでした。
サッカーのみならず押し並べて、他のスポーツにも共通してこの傾向がはっきりしていると明言出来るのです。
ところが、本来の正しい剣道の試合場においては、自軍のポイントには声援や歓声は自粛し拍手だけで健闘を称えるのです。
いわんや相手チームの失策には決して歓声や拍手で応じてはならない。
これが観戦上の鉄則であり、暗黙のルールなのである。
コーチ席からの作戦上の指示や激励の言葉も当然のこととして慎まねばならないは言わずもがななのである。