老いのひとこと

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漸くにして受審を決断した。


 18日には県の武道館へ赴く事となった。


 時期尚早とは思うもののもう既に三か年が過ぎた。


 もう待てないだろう。


八十路に差し掛かる前に兎に角審査だけは試して置きたい。


真実もう後がない事はおのれ自身が一番よく分かる。


遣れるだけの誠意を尽くしてダメならダメで仕様がなかろう。


兎に角やってみようと特訓を買って出て入退場の体捌き足捌き射法八節を織り交ぜた体配の要領を俄か仕込みで会得しようと踏ん張るのだがなかなか上手く行かないのだ。


加齢を言い訳にしたくはない。


これに負けじとおのれを叱咤するが跪坐の姿勢を持続させることが極めて困難だ。


さらには、左足を前に右足親指の蹴り出しで立ち上がろうと試みるが疲労度が増すにつれてこれもままならないのだ。


実に情けない。


これ以上の悲哀感はない。


絶望感が押し寄せる。


自信喪失がそれに拍車を掛けて益々滅入って終には両脚に軽い痙攣が走り此の日は此れにて万事休すに至ったのです。


 


次の日は鶴来道場をお借りして手順通り体配をこなす内に取り懸け不備のまま早気で離れた一本の我が矢は屋根を飛び越え場外へ消え去ってしまったではないか。


無様なおのれに恥じ入り昨日以上に落ち込み感を強く致したのです。


意気消沈したまま、帰り際には場外へ射ち損じた外れ矢を辺り一面隈なく捜すのだがそれが見当たらないのです。


ミステリーといえばそれまでではあるが農道脇を通りかかった車の荷台にでも落下したまま何処かへ消え去ったのでしょうか。


管理人のお方にはその旨報告は致したのだが最悪の後味だ。


まったく以って呆れて物が言えない。