さもしい乞食のような根性はなかなか治りそうも在りません。
行き付けの額四峠に広大な竹林がある。
5月の連休の頃には即売所もできよく賑わっていたのだがつい最近になってその一角にブルトーザーが入って地均しが始まったようです。
巨大な孟宗竹が根こそぎ引っ掻き回されて黒い表土の下から鮮やかな赤土の地層が露わに掘り起こされている。
どうも此の筍 ( たけのこ )山は太古の昔には赤土の山だったのでしょう。
であるならば業者さんによる赤土採取がお目当てなのだろうと勘繰ったりもしたがその辺りをよくよく見れば赤土に混じって明らかに粘土の層が散見されるではありませんか。
とある日に、何時ものように自転車での通りすがりにそっと盗人のように泥棒さんのように泥ならぬ粘土を掠め取って参ったのです。
犯行時間は人通り絶えた深夜ではありません。
白昼堂々と真横には夥しい車両が外環道を往来する真っ只中での犯行でした。
計画犯なのです、事前に凶器ならぬ採掘用の移植コテを準備した上での犯行でした。
わたしは、自転車の荷台に積めるだけ積んで直ちに遁走いたしました。
尤も少々断わっておくが勿論ながら近くの管理事務所にて了解を取っての上のことなのです。
果たして此の粘土質の土が陶芸用の陶土としての用を足すや否やについては確証はどこにもない。
「取らぬ狸の皮算用」、「骨折り損でくたびれもうけ」になっても一向に構わないが石橋を叩いて慎重の上にも慎重に事を進めねばなりますまい。
先ずは兎に角、バケツの水に浸しておくことにした。
この様な変梃りんなことにわが好奇心をくすぐりながら暑い日々を過ごすのです。