老いのひとこと





金沢~大垣~大阪~金沢を一枚の切符で周遊できぬものかと時刻表と睨みっこしながらプランを立ててみたら出来るには出来るのだがちょっとばかり現実的ではない事が分かった。


新幹線で富山へ行き高山線に乗り換え大垣に入る。


大垣から名古屋に出て関西線で難波まで行き環状線に乗り換える。


大阪よりサンダーバードで帰れば確かに周遊は適う。


でも、各駅停車の旅を楽しむのならこれも趣があって面白そうだが此の際はそのような時間的余裕はわたしたちには無いのです。


それで、最も効率的なプランを聞き出そうとわざわざ金沢駅の窓口まで出向いてみた。


新幹線効果で平日の昼下がりであったが大勢の観光客で大都会並みの賑わいを見せている。


切符売り場も大混雑で長蛇の列にも拘らずわたしは一つの窓口を長時間に渡り独り占めしてしまった。


つまり、一枚の周遊券で可能なコースの検索をついつい願い出てしまったのです。


取り継いでくれた女性のJR社員のお方は此の繁忙の最中にも拘わらず不快な素振を見せることなく極めて良心的にしかも献身的に対応して呉れたのです。


何度も席を立って別室の上司に確認も取って呉れました。


其の上、此の案には時間的にも費用の面からもロスが有り過ぎるがそれもよいのかと質して呉れるではありませんか。


わたしの風貌が余程高齢者に映ったに違いない。


とにかく物凄く親身に親切に取り扱って頂けたのです。


ジパング手帳の記入の仕方まで懇切丁寧に教えて頂いたのです。


しかし、結局のところは「しらさぎ号」で大垣へ行き、普通列車米原へ戻り米原より「姫路行き新快速列車」で大阪に入る案に落ち着いた。


そして、「サンダーバード号」で帰ることにした。


民営化が功を奏したのでしょうか木で鼻を括る様な冷淡なる態度は其処には微塵もなかった。


大勢の客人が待つ煩雑の中わたくし一己のために貴重な時間を割いて至れり尽くせりのサービスを戴いたことに痛く感謝したい。


此れも隠れたおもてなしの心情なのでしょうかとても気持ちが良かった。