老いのひとこと

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無駄掲載



至って気取った気分で我が身の薄幸振りを実しやかに「うらなりの記」で表わてきた。


此の世で我こそ一番の不幸せ者だと決めつけてきた。


万引きとか不登校を強いられた不運なる境遇を殊更誇張してきた。


ところが、つい先日のことテレビで中国残留孤児の追跡ルポルタージュをみた。


NHKのBS1でした、NHKの英断に敬意を表さねばならない。


「私はどこに還るのか」安住の地はあるのか一体何れの国なのか観る者たちに真剣に深刻に問い質していた。


此れこそが真実の薄幸の身でありながら彼の人たちはもう既に全てを達観し「恨み節」は何処からも聞こえては来なかった。


「戦争」が悪いに決まっている。


我らが国の非情なる軍国主義者たちの侵略戦争への


怨み辛みの言動は何処にもなかった。


夫れ為るが故に猶一層戦争の空しさ愚かさと悲憤が無性に込み上げてきた。


これこそは明らかに反戦思想に彩られた素晴らしきドラマでした。


NHKにも立派な良心があった証しだと此の不束者はその時理解したのです。


場面に登場した彼の人たちの舐めさせられた辛酸味の凄惨さは明らかにわたしの比ではあるはずがない。


わたしは恥ずかしい思いを新たに固唾を呑んで画面に食い入ったのです。