老いのひとこと(大阪行き)

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出入り六日間、五連泊の長旅になってしまった。


いくら親子の間柄であったにしろよくぞ受け入れてくれたものだと感謝するばかりです。


 


何せ、単身裸身で大阪に乗り出し職人技を修得し素晴らしき伴侶を得て四人の子宝にも恵まれ、おまけに此の際には超高層新築マンションの持ち主にまでなってしまった。


その息子たちの偉業を愛で祝福するための小旅行でした。


 


しっかり者のお嫁さんなので家事育児とOGの仕事に忙殺されながらも何ら厭うことなく此のわたしらを快く歓待してくれました。


頭が下がる思いが一入なのです。


お礼を何度も云いつつ頭を幾度も下げながら本日は帰路に付いた次第なのです。


 


ところが六日振りに帰宅してみれば車庫のシャッターが開ているではないか。


何かおかしいと思いながら鍵を開け家に入れば家内は座敷の電灯が付いたままだと頓狂な大声を発す。


わたしは慌てて居間を覗けば此の部屋の電灯も煌々と灯っているではないか。


幸い、室内は荒されている気配はない。


それでも二人は慌てふためいて実印を捜し預金通帳を血眼になって確認し合った。


わたしの宝物、「友重」「清秀」もちゃんとあるではないか、登録証も安泰ではないか。


それにしても不可思議千万、不気味な事この上もない。


 


いつもの事ながら最後の戸締り確認を取る家内には全幅の信頼を寄せていた。


わたしとて駄目押しの確認は取ったはずではあった。何分、家内とてもはや後期高齢者の仲間内、他人事ではありません。


決して、笑い事では済まされません。


万難を排して注意を喚起したにしろどうしようもない不可抗力の出来事ならば此れ又どうしようもなかろう。


これは只事では済まされないのです。


愈々、そういう時期がわたしらにも到来してしまったのでしょうか。


宿命とは言え実に侘しく果敢ない事ではないか。


何れにしろ事なきを得て先ずは何より安堵したのでした。