月面のクレーターのような無数の凹凸が不規則に並ぶ。
陶芸用語では「ピンホール」または「ぶく」というらしい。
「ぶく」が出たと云ってみんな忌み嫌うらしい。
どうも失敗作の代表例であるらしい。
原因は複雑で判りにくいらしいが要は釉薬の掛け方素地の錬り方等々作陶術が稚拙なるが故の結果らしい。
しかし、わたしは一向に気にならないし気にもしない。
むしろ、返って得難き雰囲気を醸し出しはいないかと重宝致すのです。
人みな貶そうが我れ無頓着にこれこそは此の世の宝物なりと絶賛したい。
猶の事、此の茶碗の生地は言わずと知れた額四峠で採取せし生粋の四十万土に他ならず頬擦りしたい。
これを見給え、表面には比較的少ないが裏側と内面には無数の金星を散りばめているではないか。
満天の星空を見上げながら美味い渋茶を一服いたしたい。