老いのひとこと

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わたくしは生まれつき色覚異常で赤緑色弱の身である。


だから絵を描かせると異常な絵ができ上がる。


父はわたしの異常な絵の才能に気付き小学校の低学年時に絵の先生のもとへ塾通いさせられた。


小立野台の天徳院のお近くに滝川武雄先生のお宅があって其処で特訓を受けさせられたのだが数回通っただけで間もなく事態が冷め切ってしまった。


何のことはないわたしが色覚異常者であることが判明し誰とはなくいつの間にかわたしの画家の夢は瓦解し消滅していったのです。


先日のこと此の忘れもしない懐かしき滝川武雄先生に偶然にもお目に掛かった。


奇しくも滝川先生とわたしの父は知友の間柄でその作品を譲り受けていたことになる。


弟が父の遺品を持ち込んで呉れた中に此の二点があるのに気付き殊の外深い感銘を受けたのです。


美術的価値も去ることながら何としても父の匂いが呼び戻された借間住まいの倹しい我が家の匂いまでもが甦ってきた。


それは七十数年振りに触れる懐かしき匂いに違いない。


納まる額も戦時中の質素な手製の作ではあるが名立たる一水会錚々たる会員の秀作なので芸術的価値は測り知れない。


犀川大橋越しに大きな煙突からの黒煙をとらえている。


大きな時代の流れをいやが上にも感じるのです。