老いのひとこと

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その村は海に囲まれ豊かな自然にも恵まれております。


また其処に住む村人は老若男女を問わずみな善良なる民なのです。


或る日、村の寄り合いが開かれました。


此の村の村オサは長い間大きな勢力を背景に此の村のマツリゴトを司っておいでです。


村外れに陣取るチッチャな勢力の者共は何かに付けて此の大物村オサに対抗し自分たちの思いを主張しています。


其の日の寄り合いでチッチャな勢力の元気の良い若衆の一人が大物村オサに激しく噛みついた。


大ボス猿に貧弱な子ザルが挑んだも等しい勝ち目はなさそうです。


詮無い事のように見えたが此の子ザルは殊の外勇猛果敢に舌鋒鋭く噛み付いて離さなかった。


村オサの祭り事は何時も「法の支配」に基くと綺麗ごとを畳み掛けて村の民どもを言い包めいるがあれはみな出任せの欺瞞ではないかと豪語するのです。


さらに続けて此れこそ「法の支配」とは似ても似つかない「人の支配」ではないかと村オサを激しく諌めつづけたではありませんか。


それを見ていた村の掟に精通する物識り屋さんが割って入り村オサを擁護し乱暴な言葉遣いは慎みなさいとあの噛み付いた子ザルを咎めてしまった。


気の強い子ザルは今度は此の村掟に詳しい物識り屋さんに激しく噛み付いたのでした。


其の時大きな勢力下で村オサを支える子分たちはみんな顔を歪めて何とも形容し難き猜疑の目を此の子ザルに向けている様子が善良なる村人たちにはどのように映ったものなのでしょうか。