老いのひとこと

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善い事はつづかない家の前の側溝に柄を固定するために水に浸して置いた鍬が二本まんまと姿を消した。
既に耕作放棄宣言をした身であれば鍬なんて無用の長物に過ぎなかろうがおとましがり屋にしてみれば口惜しい限りだ。
いや許せはしない。
唐鍬と備中鍬で柄にはでかでかと住所と我が実名入りの代物をわざわざ持ち去るなんて常識では考えられない。
こんな不届き者は本職のお百姓さんには居る筈がない。
恐らくは廃品として何処かに回収されたのでしょう。
油断も隙もありゃしない。
 
見え見えの隙だらけの甘い構えなら噛まされても仕方がなかろう。
お巡りさんに遺失物届でも出せば間違いなく笑われましょう。
そう云えば自己責任という言葉がありました。
 
たっぷり皮肉を込めて「ご自由にお持ち帰りください」の立札を掲げた。
どうしても腹の虫が治まらない。
わたしは料簡の狭い堅物なのだ。
変な義侠心が災いし絶対許せんのだ!