老いのひとこと㉒

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近三が建てた義父半山の墓と近三自身が祀られる墓石に挟まれる極くわずかな空間に半分土に埋もれるように奇なる物体が横たわる。

よく見ればお寺さんの告示の為の御札のようだ。

察するにどうも此の「半山」と「近三」の二基に関わりあるもの若しくは所有者が居れば連絡願いたし、申し出がない限り使用権を抹消して処分いたす旨書かれていたのです。

わたしの胸にずしんと響くものがありました。

何を隠そう最早此の時点において其の当事者はわたくし以外に誰も居ないことに気付かされた。

此の御札はわたくしへの無言の督促状に他ならなかったのです。

 

処がどうしたことか此のわたしは御札の文面を霊感で察知したかのように事前に此の妙典寺の住職に面談を申し出で然るべき手を既に打っていたのです。

 

何んと云う霊験あらたかな第六感が働いたものだろうか、我ながら魂消るしだいだ。

 

此の貴重なる文化遺産が処分されずに済んだことはやはり神仏の加護のお蔭と感謝しなくてはならない。