老いのひとこと

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      無断掲載

 

日曜会稽古に赴けば玄関先の掲示板に「武術の体研究会」とあるではないか。

名たる古武術家の拝顔に与かろうと胸ときめかせながら急げば時すでに遅し、散会した直後でした。

道場に屯する中からそれらしき人物を探し出し目立たぬようにカメラに収めた。

決して雲を衝くような大男ではなかった痩身のお方にお見受けした。

胴着を礼法に従い実に丁寧に畳んでいられる。

紛れもない現代の剣客のお姿を拝謁する栄誉に図らずも接することができた。

此の古武道家甲野善紀こそが小出切一雲の「夕雲流剣術書」を完膚なきまでに切り捨てられた御仁なのです。

刃筋正しく然も剣理の筋道正しく針ヶ谷夕雲の「相抜」を一刀両断に斬り伏せられた。

夕雲の弟子小出切一雲は我が身の弟子真理谷円四郎に「相抜」に非ずして「相討」にて敗れ去ったという。

其の事を以っていたずらに剣の心法を弄んだ無住心剣術は此の世から自然消滅したも同然だと御身の著者の中で語られるのです。

其の恐るべき剣理の論客が直ぐ目の前に居られるのです。

わたしはひしひしと殺気のような緊張感をいやという程あびせ付けられた。

 

その影響か今日のお稽古は殊の外みな気が充実した。

相方の剣先にも気合がこもり殊の外鋭いお小手を頂戴して仕舞いました。