老いのひとこと

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行列のできるお店はざらにあろうが辺鄙な郊外では極めて珍しかろう。

何時ものお決まりのコースを辿れば必ずや過ぎる箇所に「みなと模型」なるお店がある。

よくよく土曜日に見掛ける光景に此のお店を取り巻くように若者たちが長蛇の列をなして開店時刻を待っている。

まるで人気アイドルの登場を待ち焦がれるようにも覗える。

何も知らないわたしは一人の青年を摑まえてそれとなく聞いた。

遠慮がちな小声でプラモデルと聞こえた、何のプラモデルかと尋ねればなお微かな小声で恥ずかしそうにガンダムですと応えてくれた。

疎いわたしもようやく納得できた。

プラモデルというサブカルチャーの愛好者が此処に相集い平然と列をなす。

少なくとも小中学生ではない選挙権を有するであろう二十代三十代の若者たちが待ち時間をも厭わず列をなす。

一時、世間に流行ったあのオタク族を思い出した。

 

でも何の事はない此のわたし自体が典型的な其のお仲間に相違はなかろう。

この世知辛い先の見えない娑婆を生き抜くためには人夫々が何らかの形で生きる糧を探し求めねばならない。

そう云う事かともう一度納得できた。

 

そう云えば大阪の孫たちはスライムやらBtsにうつつを抜かしているではないか。

成る程と頷く。