2022-04-05 老いのひとこと 日露戦争の旅順攻囲戦に儚くも散った三勇士の慰霊碑に20間ばかり下手に極めて乙な風情の石灯籠がある。 決して土塀に囲まれる豪邸の庭先ではないのだが日ごとそれを横目で流し目しながらよぎるのです。 つい先日のこと玄関先まで失敬し写真を一枚撮らせて貰った。 ベテラン庭師の職人技の妙と申すべきか此の絶妙なる匠の技には幾度眺めても敬服させられるばかりだ。 半坪ほどの平らな石が基礎として地中に埋まる。 その上には左上方へ激しく競り出た極めて異様な竿の上に中台が置かれるが接着面がないに等しい。覗き見れば左右に空間があり明らかに一本の線上に鎮座するかのように錯覚する。 当然中台の上には一辺が一尺以上の火袋があり其の上には径三尺ばかりの巨大な笠があり宝珠がしっかり安置される。 今にも崩れ落ちそうな不安定さの中に盤石の安定感が厳として在り見事なるアンバランスの妙を漂わす。 昭和23年の福井地震以来此処金沢の地には体感地震とは縁がない。 若しや先日の宮城・福島を襲った震度6強ほどの揺れにも耐え忍ぶ完璧の石組み工法が施されて居れば神技と評価され一躍世界遺産に抜擢されないとも限らない。