老いのひとこと

 

我が曾祖父高橋精路は紛れもなく25俵取りの足軽であった。

足軽分際では在るが50坪ばかりの宅地の中で菜園を営んでいたであろうことは想像に難くはない。

わたしは間違いなく精路のDNAを継ぎ今同じように茄子や胡瓜の世話を焼く。

更には清貧の小身分ながら脇差「友重」一振りと由緒書並びに家紋付き位牌をば後世に繋ぎ不肖此のわたしが引継ぎ今に至る。

ご先祖は営々と生を営み子孫のことを想い生きた証を今に伝えようと懸命に藻掻いた。

此の足軽家に伝わる家紋「大割光琳鬼蔦(おおわりこうりんおにづた)」を今日の実習時に陶板として試作してみた。

先祖のことを想いつつ誠心誠意こころを籠めて創った。

問題は乾燥時の反りを避けねばならない。

 

言わずと知れたことながら此の作品をわたしの先祖と共に眠らせてほしい。