老いのひとこと

本来なら爽快感を戴く筈の額四峠越えが重苦しい憂鬱感に遂には二の足を踏むようになってしまった。

数日前から気付いては居たのだが落石防護柵の手前辺りの植え込みの茂みにビニール袋に密封された犬の死骸らしき物体が放置される。

懸命にペタルヲ踏みつづける最中横目で一瞥するだけだが日毎に袋が充満し始め蠅が群がる、異臭が鼻を突く。

公衆衛生上好からぬこととは感じつつも通報を怠ったのだが居た堪れず市役所へ電話するが生憎の休日で通じない。

SMSも受付ては呉れない、仕方なく役所へのメールが再三の試みで漸く通じた模様だ。

週明けには撤去作業が執り行われる運びのはずだ。

愛玩犬が手厚く懇ろに葬られる事例が多々ある反面飼い主が愛犬を路上に放置せざるを得ない何らかの事情があるにせよ犬にも劣る非情なる人間に憤りと同時に哀れみを覚える。

こんな被写体にカメラを向ける勇気や好奇心はわたしには毛頭無い。