老いのひとこと

自慢の生け垣が息絶え殺風景な人工竹 に入れ替わった。

「野葡萄」や「屁糞葛」に大いなる期待を寄せたが巻き付き絡み付く頼り甲斐のある主「カイズカイブキ」が居なくなった所為か全く元気がない。

 

偉大なる鳥たちの糞がもたらした種が芽吹き「万両」が一二本育ちはするがまだまだ寂しい。

 

或る日のこと草むらに「盗人萩」が居るのに気付き垣根にしようと移植した。

たったの一株だが抜かりのない此の種が活躍する日も近かろう。

侘びしい我が家に牧野富太郎先生が御出まし下さるとは光栄至極ではないか。

実は此のけったいな名前の命名者は如何にも機知に富んだ牧野博士であったというから面白い。

種の形があたかも忍び足で歩く盗っ人の足跡にそっくりだったからだと言う。

また衣服にくっついたまま家の中へ恰も盗っ人のように持ち込むからだ云う珍説もあるらしい。

 

来年は路傍に乱れ咲く「赤マンマ」こと「犬蓼」を是非とも移し替えたいものだ。