老いのひとこと

             無断掲載

マンションに住む都会っ子あやは小学三年生。

両親は共働きで祖父母ももう此の世には居ない。

大の仲良しだったアッキーとは仲違いし今や口も利かない。

そんなあやは寂しさと孤独感を紛らわそうと大好きな猫たちと戯れる。

それも実在する猫ではなく頭の中で夢想する猫たちと遊び癒しと慰めを求める。

あやと同じマンションに同じ学年のさくらが引っ越してくる。

さくらはそれとなくあやに近付こうとするがあやは心にも無いことばで応じようとはしない。

益々あやは孤立感を強くして行ってしまう。

そんなあやは愈々猫たちに慰めを求め猫の柔らかい毛並みの中に自分を埋めてしまうのです。

 

あやにはチョビと言う猫がいた。

チョビは亡きばあさんの家の飼い猫であり、あやが猫好きの切っ掛けとなる猫でもある。

此のチョビが面白いことを口にする。

それは猫の世界では幾ら遠くに離れていても特別に大好きな人のことは心の中でいつでも感じることが出来るのだと云うのです。

だからチョビはあやちゃんの心の中もさくらちゃんの心の中もちゃんと見通せたのでしょうね。

チョビの仲立ちであやちゃんの元へさくらちゃんが描いた愛を告白する絵が届けられました。

二人のわだかまりも解けて理解し合えるお友だち同士になれました。

素直に謝ることに気付いたあやはアッキーにも御免なさいの一言で仲直り出来ました。

チョビと言う猫のお蔭であやは自分を反省することの大切さに気付かされたのしょう。

 

チョビに見習って人間たちもそう在るべきじゃなかろうか。

 

童心に帰って此の爺さまは童話の中から生きた教訓を戴きました。