老いぼれの独り言

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昨日の茹だるような夕なぎ時に計らずも一抹の清涼剤をいただいたのです。
ご近所の若きお母さんが可愛いお子さんを伴って玄関先に立たれました。
『この度、転居いたすことになりました。長い間有り難うございました』とご丁寧な挨拶を為される。
いや、わたしは今年は町会には何ら関わらぬ身なのですと言葉を返せば、そうではなく此の子らに何時も話しかけてくださった事へのお礼の気持ちですと品物まで置いて行かれたのです。
どうしてもアパートやマンションの住人の方々とは何かと疎遠となりがち、その弊害をなくす為にも極力事あるごとに接触を密に致すべく心掛けていたのは事実かも知れない。
それにしても、数多くの集合住宅の夫々のお部屋の住人の御方のお顔なんてそりゃ分かりっこない。
判ることは不可能に近い。
大都会近郊の当然なるなりわいに違いない。
非情にして冷淡なる無言の掟が冷然とわが近辺にも漂うのです。
それが当たり前となった地域社会の中で、この若きお母さんと幼子はよく生前の愛犬りりーを相手に遊んでくれていた。
また、夕方散歩帰りに逢えば互いにごくごく普通の日常会話を交わす程度の間柄ではあるが麗しきコミュニケーションが成立していた。
それがもとで今此処に、殊更改まって親子共々して転居の挨拶とお印まで置いて行かれたのです。
わたしは此の温かき心和む御心遣いに篤き感謝の念が込み上げてきたのです。
併せて、この素晴らしき隣人がわたしの身辺から立ち去ってもう居なくなると思うと無性に寂しさが一緒に込み上げてきたのです。
大阪の孫たちに留めていた東北の土産袋を図らずも同じ名前の”ルイ”ちゃんの元へ家内共々届けさせていただきました。