老いのひとこと

外回りコースは負担が大きすぎるので足踏み公園への直行コースを往復することにした。

すると随所に畑地が展開するので作柄を観察しながらの散策が可能になる。

外回りを薔薇一色で取り囲んだ箇所は取り分け興味をそそる。

白・赤・深紅・黄・大輪・中輪など色とりどりで殊の外面白く退屈しない。

何時も此処を過ぎる際に実に善からぬ作意と魂胆が過ぎるのです。

一枝だけでもハサミでちょん切ろうかなと思ったりもするが流石にそればかりは出来かねた、窃盗行為は現行犯逮捕に違いない。

花期を終え梅雨を迎えた或る日のこと見れば

見事に剪定され、辺りを覗えば切られた古枝が束ねられて幾つも転がるではないか。

チャンス到来を直感した。

鋏を持って車に乗り換え早速住人の玄関戸を開けて案内を乞うたがどうも不在だ。

わたしは覚悟を決めて束ねた枝の恰好の箇所をちょん切り失敬するに与かった。

又しても習性の悪癖が甦り、捨て去るは忍び難しとゴミを選別し頂戴してしまった。

 

目下のところは水差しにしてから薔薇の挿し木に挑んでみよう。

そして、来年には花咲じじいになって枯れ木に花を咲かせることに致しましょう。

 

さあびしかったぼくのにわにばあらが咲いた。