老いのひとこと

改めて自然史資料館へ赴いて「牧野富太郎の植物標本」の展示会場へ足を運んだ。

奇才なる人物像に接する滅多のない好機を掴んだものだと意気込んだ。

処があにはからんや些か気落ち致さざるを得なかった。

確かに「ミニ展示」と在る、形容詞ミニの通り間違いなくミニそのものであった。

文字通り本当にミニそのものでありました、図書室の一角に明治時代の古びた胴乱が置かれガラス張りのショーケースに牧野富太郎博士の人となりが厳かに存在した。

わたしが得た収穫は博士の人となりと云うより博士の人並み外れた抜群の記憶力に驚嘆し恐れおののいた。

採集した草花を新聞紙に包み、それを採集地別に束ねて更に採集日にち別に区分けして束ねられた数千束に及ぶ新聞紙の山の中から博士はお目当ての目的とする標本をいとも容易く嗅ぎ分ける神技の持主であったのだと云う。

 

また博士は「押し葉」「押し花」にした標本に対しこれらは単なる「研究の残りカス」に過ぎぬと言い放ったのだという。

採集した其の段階でその植物の全容を観察し終え博士の緻密な脳ミソにインプットし記憶したのだという。

矢張り恐るべき人物に違いない。

 

わたしは当館のロビーに展示される5体の草花の名前を覚えようとするが其れすら出来ない。

悔しく悲しかったがわたしはメモ帳に書き写した。

ショウジョウバカマ

キクザキイチゲ

「オウレン」

「オドリコソウ」

ヤブツバキ

勉強になりました有難う。