老いのひとこと

            これクスノキ

「雑草と言う名の植物はない」牧野富太郎先生の名言であると云う。

みな夫々に名前を持つ、誰しも路傍に自生する植物の名前を知りたい好奇心に駆られる。

手品師のように自由自在に其の名前が口から唱える魔力が叶えられはしまいかと此れまた誰しも幻想する。

ネットのワンクイック検索で痛い目に遭った、然りとて図鑑を開いても調べようがない。

やはり自然史資料館へ厭わず足を運ぶのが賢明の策かと赴いた。

然すればいとも親切丁寧にしかも立ちどころに解明されたではないか、さすがプロの為せる業と感服した。

枯れたカイズカイブキの古木の脇に何時とはなしに自活し始めた名の知れぬ植物を3本持参した。

*一つ「ナンキンハゼ」中国の南京が原産地、中国では実から蝋を産したと云う。

「ハゼノキ」とは別種。紅葉が美しいらしい。

*一つ「エノキ」江戸時代の一里塚の目標樹であったと云う。

名前の由来はむかし農具の柄に用いたので柄の木となった。

また実が鳥の餌になったので餌の木など諸説があると云う。

むかしから御神木として植えられたと云う。

*一つ「クスノキ」名の由来は香り好く長寿である奇(くす)しい木からであるという。

葉っぱを手で揉むと少し刺激的な好い香りを味わえる。

むかしより防虫剤である樟脳の原料となるという。

やはり御神木の代表格であると云う。

 

3本とも何れも樹高20mに及ぶ大樹で秋には実が実り鳥たちの好餌となり糞により拡散する。

鳥たちにより齎された幸運・賜物に他ならない。

生け垣になるまで手厚く育てねばなるまい。