老いのひとこと

石踏み公園の過熱ヒーターの入った鉄板の上をせっせせっせと何とも敏捷に行き来するのは蟻くん以外居ない。

わたしの足元を実に巧妙にくぐり抜ける、決して曲線を描かず直線的に身を躱す。

6本の脚をフル稼働する其の軽妙さには感心するばかりだ。

此のエネルギー源は果たして何なんだろう、自然の摂理の神秘さを知る。

 

それに引き換え此の老い耄れし鄙びた肉体は鉛を引き摺る鈍重にして憐れなる緩慢さには老い先が歴然とする。

食が細くなった食欲進まず不味い、砂を噛むよな味気なさ義務的に胃袋へ流し込む。

喰わずば命危うしの危機感から兎に角さらし込む。

にも拘らず小腹が出たままだらしない様に怖気づく。

余程しっかりせねば老い先短しが真実味を帯びまする。

 

蟻たちの俊敏なる足捌きに肖ることは敵わぬにしても羨望の念を込めて只々感服の眼を注いだ。