老いのひとこと

予報では昼頃より雨、烈風吹き荒ぶ中思い切って石踏み公園へ目指す。

急ぎ足とは言え何とも情けない重い足を引き摺り、周囲に目を遣る余裕はなかったのだが路傍の片隅に珍奇なアケビの蔓が眼に入る。

人目離れた深山渓谷に根付く筈の此の植物が意外にも街中の雑踏に密かに息をする。

どうしても足を止めざるを得まい。

恐らくは野鳥のツグミが空を渡る途中で空中より種を散布したに違いない。

未だ成木には至らず若木のまま懸命に育つ、五枚の葉を確認し写真に撮りしばし魅入った。

見入る内に生来の悪癖がむくむくと芽生える、つまり此の植物を我が家へ盗用したい欲望が募る。

道端の雑草なら失敬しても神の祟りもなかろう。

でも今は移植の時機では無かろうし挿し木を試す時期でもなさそうだ。

来春まで待ちましょう、「待てば甘露の日和あり」というではないか。

 

雨に当たらずに石踏みをしたし久し振りに金網園児との笑いの交流も叶い今日も好か日だった。