老いのひとこと

今にも降り出しそうな空模様だが間隙を縫ってラジオ体操に興ずる。

朝めしの頃からいよいよ降り出すがどうもべた雪だ、三日坊主を戒めながら今日も奮発してお出掛けだ。

ところが頓馬なことに必携の木刀をお忘れでは話にならん。

冷たい床の上をひたすら走る、走ると云えど最早走る体形を為さぬヨタヨタするザマは何んとも憐れだ。

それでも嘗ての走禅の心境を取り戻さねばと懸命に走る。

 

次いで登り禅に挑もうとするが気力が怖気づいて足が拒否反応、もう限界だと観念したら笑みを湛えた閻魔さんから勇気を出せと檄が飛ぶ。

恐る恐る右足踏ん張り飛び上がる、丹田踏ん張り飛び跳ねる。

無安定ながらも辛うじて登ったぞ、たどたどしくも繰り返す内に努力の成果が目に見える、言うに言われぬ歓びが湧き上がる。

此の四十センチ強の此の壁の克服をおのれに誓う。

 

その足で既に雪で覆われた石踏み台に挑む、5巡目で耐え切れず白旗降参して逃げ帰る。