老いぼれへぼ剣士の夕雲考《79》

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任運とは人の作為を加えずにそのままであること。自然とそうなること。
 
夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(5)
 
 
③【如此の時代は吾も人も取りとめて習うべき隙もなく、若又たまたま習うても、戰場其外の眞實の働に及では、俄に習ふを以て勝利も得難く、只面々の運と覺悟とにまかせたると見えたり、】
 
 
口語訳
 
 このような時代に入ると、誰彼 ( だれかれ )という訳でもないが、殊更 ( ことさら )長い年月を掛けて技を習得するような悠長 ( ゆうちょう ) ( いとま )なんかないというのが実情となっていくのです。
 また、若しやたまたま習ってみたにしても実戦の場や本当の戦場に遭遇 ( そうぐう )すれば ( にわ )か仕込みのヘナチョコ青二才にとっては勝つのは覚束 ( おぼつか )ないことで、ただただ各々の方々は勝敗を時の運に ( まか )せるという有様になってしまったわけなのです。