任運とは人の作為を加えずにそのままであること。自然とそうなること。
夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(5)
③【如此の時代は吾も人も取りとめて習うべき隙もなく、若又たまたま習うても、戰場其外の眞實の働に及では、俄に習ふを以て勝利も得難く、只面々の運と覺悟とにまかせたると見えたり、】
口語訳
このような時代に入ると、誰彼 ( だれかれ )という訳でもないが、殊更 ( ことさら )長い年月を掛けて技を習得するような悠長 ( ゆうちょう )な暇 ( いとま )なんかないというのが実情となっていくのです。
また、若しやたまたま習ってみたにしても実戦の場や本当の戦場に遭遇 ( そうぐう )すれば俄 ( にわ )か仕込みのヘナチョコ青二才にとっては勝つのは覚束 ( おぼつか )ないことで、ただただ各々の方々は勝敗を時の運に任 ( まか )せるという有様になってしまったわけなのです。