老いぼれの犬日記《3》

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わが家の犬
③若かりし頃の、この犬の自慢の種はそのジャンプ力であった。
確かにその脚力には非凡なものがあった。
丁度私の背丈分ほどのブロック塀に挑戦を仕掛けた。
わたしは指先で塀の高さを指示し、それ行け!ジャンプ!ピョッンだ!
とけしかけると、見事なる跳躍力で最後は四足でよじ登る仕種を見せたが間違いなく塀の上に立ったではないか。
振り向きざまに直ぐに地上へ着地したのだが、惜しむらくはその決定的瞬間をカメラで捉えることが敵わなかった。
さすがに寄る年波には勝てず、その脚力の劣化は著しい。
先日、この愛犬が金字塔を打ち立てたブロック塀の前に佇み、無言で互いに目を交わしながら昔を懐かしく思い返した。
心なしか、伏せた目線で恨めしやにわたしの顔を見上げていたように思えた。