少々膝を患われたご近所のT女史からの要請、それを無碍に断るわけにも行かず何時の間にかわたくしは彼女のお抱え運転手の身と相成った。
当初の約束は水曜日だけだったのがそれが何時も間にか次第に事がエスカレートし曜日を問わず行き先も四方八方に広まった。
下手をすれば日曜日にも電話が入る、余程のお人好しな善人でない限り煩わしさを隠せまい。
確かに困っている人に救いの手を差し伸べるは至高の人たるものの務めには違いない。
ところが困っていることを口実に相手の心中を余り慮ることなくずけずけと要求を突き付けられれば果たした如何が致せばよろしかろうか。
其処に何かしら人間的に気がねそうな逡巡の念とか遠慮がちな立ち居振る舞いがあれば別の感情が働きましょうことに・・・
此の事態を佛の教えはどのように導いて下さるものだろうか一度ご近所の住職さんに問い質してみることに致しましよう。