竹の子シーズンは今たけなわ、何の気なしに旬の味を楽しんではいるが此の物を掘り出す苦労はついぞ知らなかった。
先日、体験学習宜しく義妹に誘われ山に入り命懸けの思いで掘ってきた。
何のことはない、其処は高尾城塞群の一角を占める窪地区の竹林に他ならない。
ワイワイ楽しくなんてとんでもない、一たび足を滑らせば千
仞の谷底へ巻くずり落ちそうだ。
足場を確保し専用鍬での作業はまさに必死の思いだ。
獲物の周囲を少しづつ掘り進める強靭な根っ子が邪魔をする其れを切り砕きながら根気との戦い。
脚が引き攣り腰が張る、此れは年寄りの仕事には非ずと思いつつもクソ意地を突っ張る。
何事もおのれとの戦いと言い聞かせ遂に掘り出した時の達成感はこれまた格別だ。
収穫の歓びと労働の歓びをからだ一杯で味わう。
ただ惜しむらくはお味の方が今一すっきりしない。
掘り手の鍬捌きに左右され折角の鮮度がどこへやらまるでなれたお魚のようではないか。