老いのひとこと㊱

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野田山周辺の車列が何時になく混み入る。

幸い駐車スペースがあった。

久し振りに「芝山」の地に足を踏み入れた。

下界ではもうソロソロ花便りが届きそうだが此処野田山には万物が未だひっそり息を凝らしているようだ。

それでも地表にはアザミがぼつぼつ顔を出し木々の梢には若き新芽が目ざめたようだ。

行く当てもなく只さまようが自ずと足は「近吾」のもとへ吸い寄せられる。

在るべきものが無いことはよくよく承知しながらも幻影にでも逢ってみようかと

踏み入れた。

何事もなかったかのように今年も「シキミ」が寂しく咲き乱れる。

「上溝桜」には新芽が初々しく息づいている。

今や主は不在だがお前たちが今まで通り見守って呉れているので安心だ。

わたしは何度も合掌し合掌しながら「近吾」のもとを後にした。