老いのひとこと㊺

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            無断掲載

衝撃的情報が齎された。

これは天地創造のビックバンに見舞われたに等しい。

その都度その都度神々しくも仰ぎ見たあの半山君の墓石が音もなく崩れ落ちてゆく。

津田近三は清三郎の倅に非ずの確たる確証が突き付けられたのです。

事もあろうに彼の成瀬正居の実弟が他でもない津田十之進こと津田近三で在ることが今見事に確証されてしまった。

成瀬家の諸士系譜を見るまでもなく、正居の著「成瀬日記」の記述の中からも清三郎が本家和三郎宛てに此の際の養子縁組の破綻を申し告げる書簡が発見されたのです。

つまりは清三郎の名不詳の息子を和三郎の元へ養子として差し出す縁談に断りを促す内容だと云うのです。

如何にも現実味を帯びる二人の遣り取りから決して本家と分家との確執が在ったとは思いたくはない。

家格が異なる知行高2500石の人持組の近三が高が500石の和三郎の元へよくぞ婿入りしたものだ。

 

 

如何にも和三郎の人格円満さが窺い知れる。

あの巌のような風格ある「津田半山君の墓」の新規なる意味合いが眩しく光沢を放っているではないか。

祝福いたさねばならぬだろう。