老いのひとこと

 

四角香炉の四脚の一つが素焼きの前に外れて補修するすること二回辛うじてくっ付け旨い事に素焼きが叶いしめしめと安堵した。

ところが迂闊にも施薬の際に危うい脚部を持って浸せば懸念が的中しポロリとやってしまったではないか。

万事休す、諦めの嘆息を吐けば傍に居た先生からご心配無用助かる術が在りますよとの一言で胸を撫でおろす。

釉薬そのものが接着剤と相成るとの助言を授かった次第だ。

災難つづきの此の香炉が難産の末無事に焼成されんことを殊の外願わずには居れない。