老いのひとこと

無事九体が焼き上がった。

他人様のモノと見比べれば何かしら野暮ったく見すぼらしくもあり引け目を感じてしまう。

お隣さんの大根の育ちの良さと勢いの好さに少しく気落ちするのと同じことのようだ。

他人の秀作と比べてみても仕方がない、おのれの駄作はそれなりにおのれの魂が籠もり個性たっぷりで此の世に1つしかない秀作なりとおのれに言い聞かせおのれを納得させるしかない。

 

誰からも祝っては戴けないので我が身で我が身を祝福するしかなかった。

陶芸に手を染めし其の証しにでも致さんと平皿に「祝 米寿」と書いた。

気品に富んだ弁柄色に期待したのだがくすんだ品なき色に終わったのは悔しい限りだ。

おまけに筆勢の乏しい委縮した字体ではどうにもならない。

 

ほっかす訳にはいかぬ、飾り皿としてわが座右に侍らし温めてやろう。