老いのひとこと

現役の頃は上手くはないがスキーを嗜んだ。

もう一度乗る機会があるだろうと板とストックは後生大事に物置の屋根裏に隠し置いた。

ところが飛んだことで此奴が邪魔を仕出かし上がったのだ。

何時ものように車をバックで車庫入れいたせば異様な物音に気付く。

其の折に直ちに下車し確認する基本動作を怠ってしまった。

えーい面倒臭いとやおらバックすればミシミシと音がして車が止まる。

此の時はじめて異変に気付き見れば何んとストックが弓なりに撓り頭がフロントガラスに突き刺さる様に仰天する。

おもむろに前進させよく見ればストックの頭に着く皮革製の輪ッ環の間に車のアンテナが潜り込んでいるではないか。

滅多と起こり得ない珍現象が運悪くも発生し上がったのだ。

 

アンテナは伏せて置いた筈なのにやはり齢の所為かも知れない。

幾らおのれを責めて見ても仕方がなかろう。

諦めるしかない。