老いのひとこと

荒ら家なら荒ら家らしく草ぼうぼうで好かろう、又窓の網戸は経年劣化でぼろぼろの方が似付かわしくも在ろうが此れどうしたことか此れではやはり体裁が悪かろうと外聞をば気にするのです。

然すれば明らかにボケてはいるが未だ軽度の認知症状で済み居るかと高をくくる按配だ。

草が生えようが網戸が破れ放題でも一向に我関せずならば此れ一大事。

予てより家内も気にしていた網戸の張替に挑む、少々の破れには気にせず三余年は持ち堪えたが安眠を妨害する蚊の侵入には堪らず大網戸二枚に炊事場の簾越しの二枚、合せて四枚は確かにキツイ腰が張る引き攣る。

タイヤ交換より遥かに豪かろう、草毟りの比ではない数倍の体力忍耐力を要した。

耐えて耐え抜いた気力でボケ症状を蹴散らした。