老いのひとこと

今やいずこの待合室へ行ってもほぼ九割方は高齢者で埋まる。

依って今様の医師は高齢者医療にも精通していても何ら

可笑しくはない筈だ。

良心的医師なら当然そう在って然るべしと思う。

 

専門外であれ患者には

*よく眠れますか

*やはり小用に立つでしょうね

*三度の食事摂れていますか

*食欲はどうでしょうか

*何か趣味はお持ちですか

*外歩きなどされてますか

などなど日常会話が在ってこそ高齢者に寄り添う名医といえまいか。

先日のことさんざん待合室で待たされ漸く診察に入れば開口一番「喉が渇くか」と尋ねて来る、「特に感じたことは有りません」と応える。

次いで「薬を飲んでいるか」と訊いてくるので「もちろん欠かさず飲んでます」と返答し、両手の脈を調べて何らの言葉も掛けられずにそれにて終了、其の間ほゞ一分間。

受付で会計を済ませれば次回予約の紙片には「頸部MRA」とある、時刻通りに来院されたしと告げられた。

軽度の脳梗塞と喉の渇きの医学的相関関係はわたしは知らない。

まるで此れはわたしを糖尿病併発患者に決め付け其の烙印を額のど真ん中にデカデカと押印されたと同然ではないか。

 

 

医師の言には患者は素直に従えべしと極めて高圧的に覗えても仕方あるまい。

前を向いて生きようとの意欲が萎える、其れを鼓舞するような高齢者医療で在らねばならぬ筈ではなかろうか。