老いのひとこと

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図らずも足踏み公園のベンチに佇めばあすなろ幼稚園の入園式に出くわす、好く晴れた土曜日の事だった。

 

我が家のベランダの窓越しに月曜日の朝、扇台小学校の入学式に登校する様子が目に入る。

 

馬車馬のように働いた現役時代には三人の息子たちの保育所や小学校へ同伴したした記憶は全くない、全て家内任せであった。

 

それがどうしたことか少子化時代を象徴するように今様は両親共々お手手をつないでやってくる。

押し並べてパパさんは黒いスーツ姿、ママさんは凡そ二三割方が和服に正装する。

 

驚く勿れ、月曜は勤務そっちのけだ、みな年休代休特休か長閑なものだ、此れ恐らくアベノミクスのお蔭だろうかなあ。

勿論、父親に手を引かれる子も母親だけの子も居よう、やはり小学校の方が多かったようだが此れ当然の理屈となりましょう。

其の中には父子家庭、母子家庭のお方も居ようかと思えば矢張りこころが縮む。

 

散歩の帰路に入学式を終えた親子連れに出逢う、髭ずらの人相の悪いジジイにはみな遠ざかるように振り向きもしない。

然もありなんと行けばお母さん連れの子から「こんにちは」の挨拶があったお母さんからも会釈を戴いた。

そんな二組の母子にはこころが和んだ嬉しかった。

善い子に育ってねと願うまでもなくきっと立派な子に成長するに決まって居よう。