うらなりの記《92》

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母への想いー(7)
 
『母の思い出』
 
 ⑦ 瞼にたたえた涙をこらえながらむしろ優しく微笑み返し慈悲の眼でわたしを迎え入れてくれていた。
 わたしのからだは吸いつけられるように母の胸にうずくまった。
 か細い腕で母はわたしを揺すった。共に泣いた。
 それから後の母は豹変した。わが子の破廉恥な人にあらざる行為を母が引き受けたかの如くゴミ箱の中を漁り始めたのだ。
 我が家の夕餉の食卓をまかなうためには不可欠のこととして猛然と開き直ったとしか言いようがない。