新幹線の旅≪2≫

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この小旅行に際し息子は“此の金で善光寺さんでもお参りして来まっし”と何がしかの餞別を手渡してくれた。


 言うなれば息子に引かれて善光寺参りと相成った次第だ。


 どうした事かこの齢まで善光寺を知らなかったので此れ幸いと途中下車を決断いたしたのです。


 


 梅雨晴れに


   小一時間にて


        善光寺


 


 


 7時にはもう長野駅に到着し都合よくバスの便にも連結していた。


 一生に一度の善光寺参りが今漸くにして叶い善男善女の仲間入りが許されたことになる。


 七年に一度と云う「御開帳」の儀にはさぞかし賑わってであろう本堂前は今ひっそりと静まり返る。


 


 向暑の候


    回向柱を


       独り占め


 


 境内の片隅には放浪しながら酒を愛した井上井月と種田山頭火の句碑が立っていた。


 また同郷の小林一茶


 春風や


   牛に引かれて


       善光寺


 


 


 開帳に


   逢ふや雀も


      親子連れ


 


 の弐つの句も刻まれていた。


 


 この三人の俳人たちも此の善光寺宿坊に一夜の宿を取ったのかと思えばおのずと気も和む。


 参道に軒を並べて建ち並ぶなかで各々方は夫々何処のお宿をお選び為さったものかと思えば猶の事楽しい。


 一茶の頃には信州地酒「夜明け前」はまだ創業には至らないが恐らく酒好きの井月さんと山頭火さんは浴びるように飲み干したことだろうと思わず微笑んだ。


 


 わたしたちは宿坊にはお世話にならず少し早めに再度「かがやき」に乗り継いだ。