「灯台下暗し」とはよく言ったものです。
日頃お世話お厄介になる額谷ふれあい体育館のフロアの真下に「額谷カネカヤブ遺跡」という古代遺跡があったとは此れ露知らず誠に以って不甲斐なくも恥ずかしい限りなのです。
恐れ多くも貴重な文化財の真上を土足で踏み付けていたとは知らぬこととは言え大した罰当たりだ。
額谷在住の古老の方々からの聞き取りが少しづつ膨れ上がり次第に浮かび上がってきたのです。
発見の切っ掛けはやはりふれあい公園や体育館や鶴寿園などの整備工事時にあるらしい。
何と此処額谷の地は縄文の昔から人々の生活の場であったのだという。
当時、此の高台に建つ「額東神社」も戦禍で灰塵に帰し現在地へ移築を余儀なくされたという。
此の神社の神官を務めた富樫正親が家臣金子某の住いの地番の字を「カネカヤブ」と称したらしく此の聞き慣れない「額谷カネカヤブ遺跡」の名称の由縁は此処にあるのだというのです。
わたくしははたと膝を叩いた。
そうだ、あの林道わきのあの珪化木の現場へ行って屋根瓦の破片で良い往時の匂いを偲ぶ物的証拠を探してみようと直行した。
すると在ったではないか。
情念が乗り移ったように小さき瓦の破片を探し当てたのです。
取るに足らないちっぽけな喜びではあるがわたしには掛買無きでっかいでっかい喜びなのです。
こんなものだが立派な宝物なのです。