八十路も過ぎてもうそろそろ「あの世」のことを気にかけてもよいではないか。
連日の猛暑の中例の片足立禅に取り組む。
傍目には奇異に映ることでありましょう。
紙飛行機仲間の御方からお声を戴いたりすれば適当にお茶を濁したりして誤魔化すのです。
恥ずかしながら此のわたくし、片足立ちの姿勢で「あの世」の入口に立って中の様子をこっそり覗うのです。
閻魔さんに見付かれば体験入門を正式に願い出ようと決めているが未だ大王さんはお出ましにはなられない。
薄く瞼を閉じれば漆黒の闇の空間にふんわりと浮いているような気分だ。
誰れも居ないようだ、静かな暗闇に身を委ねる充足感をほんの瞬時だが感じ取るのです。
一に三四と時を刻みひゃくはちを数えると心身が限界に至り左足に踏み換えるのです。
ほんの二分間ばかりだが「あの世」のようすを身を以って体験いたすのです。
抵抗なく「あの世」へ入って行けるようにいろいろやってみるのです何事も練習ですトレーニングです。
片足立禅を終えれば「この世」に返り今日の体験入門を反省しながら明日に備えるのです。
「この世」と「あの世」の間を自由に行ったり来たりして「この世」が「あの世」のように「あの世」が「この世」のように観透せるようにならなくてはならないと自分に言い聞かせるのです。