幾暁庵(きぎょうあん)が編んだ晩年の句集「秋まつり」と「放生会」に此の青桐 ( せいどう )が詠んだ句が掲載されていた。
変体かな混じりの崩し字の解読に随分手間取ったが学芸員のお方のご好意を得て何んとか漕ぎ着けた。
確かに役立たずの実に下らない作業に執着しているが此のわたくしが為さねば誰が為すと云うのか。
今為さねば何時為すというのですか。
わたくしにはそんなに残された持ち時間はない。
一刻も早くなさねばならぬ此れがわたしを急き立てる。
子々孫々の末代の誰かさんに語り残したい下らぬ衝動に他ならない。
最初の初投稿の句が
年変わりの
調子くずさぬ
貼( はり)の素
次の句は
白浪は
浦の花なり
月のかげ
鹿啼きて
鐘の澄みをき
山家かな
黄と白ろ
はや赤くあり
菊の市
相撲に因んで番付表が作られていたが青桐は番外で外されていた。
点数表も作られていてこれには青桐は弐拾弐点にランクされている。
競い合う姿は今も昔も何ら変わりはない。