老いのひとこと

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久し振りに七瀬鯉の様子をうかがおうと鯉待橋から覗いてみれば水位が下がりねぐらの淵が干上がっているではないか。


此れでは彼女には安住の地たり得ぬ、如何したものかと近辺で鍬を振るう農夫に声を掛けてみれば、どうも上流へ独力で遡上し堰堤の淀みに仮住まいをしているやに人に聞いたと教えて下さった。


やれやれ一安心、下流へ下って外敵に襲われるより鯉は鯉らしく身を躍らせて滝登りする方がずっと適っていよう。


何れ機を見て参ろうぞ、そうおのれに言い聞かせた丁度其の矢先にマタギ風の鬚づら男がぬーとわたしの目の前に現れたのです。


勿論、銃こそ担いではいなかったが装束からして立派な山男です。


聞くまでもなく此の七瀬川の水の濁りは護岸工事中で重機2台で川床を抉っているのだと生々しい情報提供をいただいた。


鯉のことまでは知らぬとおっしゃるがイノシシの異常繁殖にはお手上げだと大男が嘆く。


お目当てのジネンジョはすでに先取りされ無惨なる穴ぼこだけが取り残されていたという。


倉ケ嶽まで入ったがヒラタケもナメコも全滅状態であったと手の平を天へ向けて諦め顔を為された。


そう云えば近くには例の唐辛子入りロープが張り巡らされたのでイノシシ君はきっとそのあたくそを仕上がったに違いなかろう。