老いのひとこと

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「蓼食う虫も好き好き」の言葉の通り人それぞれ好みが違うので他人がとやかく物申すべきではありません。


紅白歌合戦の視聴率が39%何がしであまり高くはなかったと報じている。


それでも40%に近い人たちがNHKにチャンネルを合わせていたとは些か驚いた。


処がそう云うわたしも例外ではなかったことになる。


どういう風の吹き回しか知らぬは何年振りかでチャンネンルを捻っていた。


中には時代の世相に機微に触れる若者の心情を訴えた異質な歌声も確かに混じってはいたがお慰みに選曲されたような気がしてならない。


概して日本人が異国人のような衣装で舞台狭しと飛んだり跳ねたり意味不明なことを囃し立てててんやわんやの喝采を浴びる。


時代遅れで構わないわたしは美空ひばりや村田英雄の時代の方が好かったと思う。


いたたまれずにチャンネルを8チャン教育テレビへ切り替えた。


全くクラッシックの素養のない田舎者だがベートーベンの第九だと気付いた。


N響を率いてドイツ人クリストフ・エッシャンバッハが指揮を執る年末恒例の「歓喜の歌」でした。


恍惚の世界へ誘ってくださった。


指揮者自体が恍惚の世界を彷徨い瞑想するがごとくにおのれも合唱隊と共に大口を開き何もかもが一体となる。


演奏者は大きく前後左右へ楽器諸共身をくねらせながらベートーベンと一体となって歓喜の情感を表現せんとまさに熱演す。


歌い手が声量一杯に声張り上げる姿ほど神々しいものはない。


激しい怒声を発するような真剣な眼差しは聴くもの胸中を震わせないはずがない。


歌手たちの鋭い眼光と共に歓喜の歌を謳い上げ会場に鳴り響いた。


聴衆を含めたホールの中が渾然一体となって融け合いみな感涙に潤んだ。


テレビの視聴者もみな同じだ。


 


とやかく言うわけではないが「蓼食う虫も好き好き」なのです。