津軽海峡を渡る⑦

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津軽海峡を渡る⑦


 


/20金曜日


まだ明けきらぬ4時前にホテルを出る。


只ひたすら函館埠頭を目指し走る。


津軽海峡フェリーの乗船手続き開始時刻の8時50分に遅れを取らぬように濃霧の渡島半島を一目散に南下する。


9時30分発大間行きノスタルジック便に間に合った。


所要時間は90分に短縮したが料金は16,150&26,720と割高、其の理屈をあれこれ考えあぐんでいる内にマグロの大間港に着いてしまった。


とうとう未踏の下北半島の大間に入ったが不甲斐なくも鮪丼を横目に見ながら海岸線を南西方向に下り大畑地区で右折し山間部を走れば程なくして畏れ多い恐山についた。


と云うのも異様な臭気が立ち込める車内で互いに誰が放屁したかと掛け合う内に聖域に足を踏み入れていたことになる。


其処は樹々鬱蒼と生茂る深山かと思いきや湖沼を望む見晴らしの好い箇所にあった。


平坦なる全山いたる所に三途の川が流れ賽の河原が展開する。


夏の直射日光が遠慮なく射し込むが我が霊魂だけは凍え慄いているようだ。


やがては訪れるであろう三途の川の渡り初め予行練習とこころして徐に慎重に深々と横切ってみた。


来るべきその折には戸惑うことなく道に迷うことなくあの深い淵へといざなわれることだろう。


なだらかな裾野には白砂が敷かれ鏡のような湖面が眩しく光る。


恐山のカルデラ湖である此の宇曽利山湖はまるで極楽絵図を眺めるようにこころ安らに映る。


 


帰路でもあの冷たい清水で乾ききった喉を潤した。


 


 


 


8/31
RyuukyuuのMorninggloryが一輪咲いた。