石造りの永久の住処がいよいよ始動する。
義父良一より新築祝いに贈られた此の自然石を標柱として活かす手も在りと遂に英断した。
36年間我が家に居座ったその石はクレーン車に釣り上げられ持ち去られていった。
すっぽりと空洞が残されたまま持ち去られた。
既にガラクタと化した自作の陶器の類の処分場と致そう。
運よく幾千年後の治世の世で過去の遺物を発見したと騒いで呉れれば勿怪の幸いではないか。
この程度の人間でしかない。
この程度の安っぽい夢しか抱かれない安っぽい人間に過ぎない。
でも此れにてポコンと空いた心の空洞をも穴埋めすることが適ったので好かったではないか。