古文書のお勉強会も残り少なくなった。
今回のテーマは時宜を得た「西郷どんを読む」でした。
何せテレビの前にへばり付きボリューム一杯にして齧り付く。
ところが今日の講師の先生曰く「ドラマのストリーの大半はフイクションであり史実に忠実に則っている分は僅か3%程度に過ぎぬだろう」とその内幕を暴露なされる。
此のわたしはフイクションとも知らずに血眼で画面を追っている。
間抜けさんに此れ以上間抜けが進まぬようにと難しき講義をより良き良薬に致さんと拝聴した。
今日の史料は西郷吉之助が大久保一蔵宛てに是非とも錦の御旗を用立てしてほしいと要請した手紙文だと云う。
当然セゴドン自身が直々筆を執った肉筆に違いはないがこころなしか今まで頂戴した文体とは異なり少なからず野暮ったく見える。
ところが今日の先生は西郷さんの文字は基本通りの正しい崩し字だと絶賛為された。
当時は武家のものや有力者には秘書役の代筆文官が侍っていて当人は筆を執らなかったと云う。
そうだとすれば間違いなく西郷吉之助は腕に自信を持つ相当の能筆家であったことになる。
本日の先生は此の吉之助が急遽筆を執らざるを得なかった風雲急を告げる逼迫した時代的背景について事細かく力説なさった。
つまり其の間の経緯は歴史の教科書を書き改めるほどの重大な意味があるのだと云う。
浅学菲才のものには知らぬ存ぜぬ事ばかり恥ずかしい限りです。
*1867慶応3年12/9「王政復古の大号令」
*1868慶応4年1/2幕府軍一万五千が「討薩の表」を掲げて朝廷に向かう
*同年1/3夕刻鳥羽と伏見で戦端の砲火が上がる
*同年1/3夜半吉之助は一蔵に錦の御旗の要請の手紙を著わす
江戸から明治に生まれ変わる胎動の蠢きを肌で感じた。
今日の先生の講義はずぶの初心者に寄り添う懇切丁寧さが際立った。
「原文」とその「釋文」に「書下し文」が加わり更に「解釈文」と「解説文」まで添付された。
加えて「原文」の一字一句を解説する「字解」なるものまで付記された。
微に入り細に渡る事細かなご配慮に頭が下がった。