老いのひとこと

イメージ 1
無断掲載



貴景勝が優勝を掛けて大関高安に挑んだ。


正に真剣勝負、男と男がぶち当たる。


正に闘争を見た、男と男が命を賭けて互いに闘魂を燃やした。


だから美しい、国技と云われる由縁は此処にある。


みんなが目を見開き固唾を呑んだ。


貴関の強烈なぶち当たりから諸手突きで突き放つ、止む無く大関後退、其処を怒涛の寄り身で勝負ありと思いきや大関咄嗟に反応くるりと回転し背中を見せて万事休すの体勢からあれよあれ、大関は天佑神助のお蔭で奇跡的に生還した。


勝負は下駄を履くまで判らぬと昔の人は能く言ったものだ。


若しや貴関に一瞬の間、相手を冷静に見る瞬時の間が在れば勝負は逆転したは誰の目にも明らか。


貴景勝関の反省を込めた敗因の弁は経験の浅さが勝負勘を狂わせたとおのれの至らなさを率直に口にした。


一方大関高安関の勝因の弁は体が素直に反応したことを挙げ日頃の稽古の賜物だと云わんばかりに口が滑った。


でも、あそこは大関が小結から九死に一生を得た場面なのでやはり大関の口からは貴関が足を滑らせたのが勝因ではないかと謙虚さがほしかった。


男と男の壮絶なる闘いなるが故に猶の事礼に始まり礼に終わってほしかった。