新天皇が即位された。
日本国中が湧き立ち新聞の活字が跳ねる。
朦朧とした眼には「見よ東海の空明けてキョクジツ高く・・・天地の正気ハツラツと希望は躍る・・・」と時代錯誤も甚だしき文言が脳裏を去来し瞼をこする。
軍靴の響きに鼓舞され少年時代を育った。
敗戦の年の夏休みの宿題はヨモギの干し草持参だったがわたしはそれを怠り拒否した。
担任の女の先生の折檻厳しく貴様国賊かとビンタを喰らい廊下に立てらかされた。
夜も深まる9時ころに不審に思ったか父親が迎えに来てくれたことを今も思い出す。
我が母親は他人のゴミ箱を漁ってまでしてわれらの夕餉の支度に勤しんだ其の姿を今も鮮明に涙と共に思い返す。
平成の時代には其の戦争がなかった。
それは平成天皇のお蔭であったと思う。
天皇なくして在り得ぬ事とこころある日本人ならそう思う。
政権与党は何ゆえ以って隣国からの脅威論を殊更必要以上に強調し国民に警戒心を煽り立て軍備拡張に狂奔なさるのかわたしにはよく分からない。
天皇があれ程深い思い入れを為される沖縄に対しその民意を何故ないがしろにしようとするのか此れもよく分からない。
此れらの疑問点と併せて何んとも遣り切れないもどかしさに如何に対応いたすべきか。
柔和な新天皇の令和元年がスタートした。
新上皇を鑑といたすとのお言葉を戴き安堵した。
主権者たるわれらは此の時局を冷静な目で客観的に見透さねばならない。
メデイアに踊らされ浮き足立つばかりでは能がない。
時代を読み解く拠り所をしっかり見極めねばならない。
そろそろ耄碌しはじめたご老体が朦朧とした眼差しで何時もの不可解な戯言を囃し立てている。