老いのひとこと

今は雪に閉ざされ雪解けを待つしかない。従って針の筵のような石踏み修行は暫しお預けだ。

 

持病への不安、人との絆の縺れへの不安、生きる事への不安、身の回りの諸々な煩悩等々の苦しみや恐れから解放されたい。

自力で脱出したい非力ながらも自分の力で心の安楽を求め救いの境地を得て幸せを自分の力で掴みたい。

其の衝動がおのれを動かす。

 

いにしえの武人たちの教えに従い、吾は此の吾の非心を切る此れ「非切」と呼んでこよなく信奉してきた。

ところが何となく弱音を吐いてしまう。

寒波襲来を口実に寄る年波の所為にしてサボり心が襲い来てご老体をもろに誘惑する。

 

ウン!と踏ん張り丹田に力を込めて「非切」の真情を弱気のおのれに叩き込む。

冷たい道場の床を踏んでおのれに喝を入れおのれの心のコントロールを自由自在に為せるように相努めよう、勉めねばならぬ。

 

鶴来道場の稽古納めに馳せ参じて来た。

 

阿弥陀様が天の彼方でにっこり微笑んでくださるではないか。